疲れる夢というのをたまに見ます。
例えば起床後の一連の日課をする夢とか、義務感を持って何か単調な作業をする夢とか、起きたら嫌だなと思っているトラブルが実際に起きる夢とか。
夢の中ではどんな過失も無かったことになりますが、精神的な疲労はそのまま目覚めた自分に残るわけで、こういう類の夢を見た朝は憂鬱になります。
これはそういう不毛な夢の体験ができるゲームと言っても過言じゃない。
リトアニア発の3Dパズルゲーム、ヒューマンフォールフラットをプレイしました。Switchのダウンロード版。3D酔いしやすいのを自覚しているから普段はやらないタイプのゲームだけど、期間限定半額につられてしまった。
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操作方法 |
夢の中に入り込んだ主人公のボブが云々という設定はありますが特に出てこないので割愛。
粘土かゴムのような定まりのないキャラクターを根気よく動かし、パズルを解いて先に進んでいくだけのゲームです。物理演算を利用した3Dアクションパズルシミュレーション。
キャラメイク要素もありますよ。素体そのものの色を変えたり、着せ替えたり、服の色を変えたりと無駄に細かく弄ることができます。前後が分かりにくいデザインなので服や帽子を用いるとちょっとだけ有利かもしれない。
フィールドには黄色い小さな箱のような物が落ちていて、これを拾うとヒント映像が流れる。
映像は特定の場所にのみ現れるので自分で見付けるスタイル。目の前に出してくれ。
チュートリアル公認の役に立たなさ。
チュートリアルに煽られつつ、扉を開く・ボタンを押すといった操作に慣れていきます。
BGMは基本無音だけど思い出したようにやたら荘厳なピアノ曲が流れる。
『パズルが解けない?それはお前の頭が悪いからだよ』という旨のヒント映像。何がヒントだ。
両手でボタンを押すだけの行為がとんでもなく難しいゲーム。
基本的にこのゲームはジャイロ操作でカメラを動かし、キャラクターはカメラの向きに従って腕を突き出すアクションを取ります。カメラがちょっとでもズレていれば目の前のボタンを無視して壁に突き指するような仕様。
キャラクター自体がぐにゃぐにゃと芯の無い動きをするので、慣れるまでの難易度が高め。
相変わらず役に立たないヒント映像を見せられた辺りでプレイ中断。
うっかり携帯モードで始めたら早々に酔ってしまって心が折れた。
この不毛なゲームを一人で遊ぶのは間違っているような気がして友人を巻き込みました。左が1Pである自分、右が2Pである友人のプレイ画面。Joy-Conのおすそ分けプレイでいざスタート。
ちなみにゲーム内ではJoy-Conの設定を変える画面が無かったようなので、ホーム画面のコントローラー設定から持ち方変更で登録し直しました。
ボタンの押し方が絶妙に気持ち悪い。
ステージが次へ進む区切りとしてキャラクターは幾度となく空に放り出されます。
落ちると結構生々しい音がするよ。
位置や角度に気を使うオブジェクト関連のパズルも、二人プレイならかなりのイージーモード。
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よく自分の腕が自分の頭に引っかかってしまう |
特に攻略に頼ることもなくさくさく進んでいきます。
二人分の思考があるというのもパズルゲームでは大いに役立つ。
ヒューマンフォールフラットをプレイするにあたって非常に重要なよじ登るアクションについてのヒント映像。重要どころか操作説明に書いておいてほしいくらい必須。
ジャンプで崖を飛び越えるのが得意な友人が一足先にこのヒントを見付けましたが、映像を見付けることができなかったので内容を確認したのは私でした。理想的な持ちつ持たれつ。
カメラを上に向けながら両手を突き出して、崖に掴まってからカメラを下に向ける、とこんな風に身長以上の壁を登れます。意外と力持ち。
このゲームには何通りもの謎解きがあって、使うオブジェクト、使えるかもしれないオブジェクト、通れそうな道、頑張れば通れそうだけど正規ルートでは無さそうな道が沢山出てくる。
まるで真っ当な知育ゲームみたいですね。多分違うけど。
友人が離席している間に、ロープを使って向こう岸に飛び移る試み。
無理でした。
足りなかったのはロープの長さか、タイミングの良さか…。
正解が幾つもある分、試して駄目だった事が<ゲーム的に無理>なのか<単なる失敗>なのか判別つかないのが腑に落ちない点。これが現実であれば気にならないけど、ゲームであればどう試行しても無理なルートというのはあるのだし。
このゲームを遊ぶにしてはちょっと頭が固いんだろうな。
予測できない動きや不意に危機に陥るキャラクターを笑い飛ばす、というのが自分なりのこのゲームの遊び方。
実際これを友人とプレイすると、ジャンプしてよじ登るために両腕を突き出して走り出す様子とか、足元がフラついて救いようのない落下をする様子とかがもう腹がよじれるくらい面白いです。何故か動画撮影禁止なのが惜しいくらい。
購入前は高尚なパズルゲームだと思ってたんだけど。
救いようのない友人を置き去りにして先へ。
ステージが変われば問題なく二人揃って進めますからね。
ステージ変更でなくとも一人がチェックポイントを通過(右上に読み込み表記が出る)すると、チェックポイント前にいるキャラクターはどこかで落下すればチェックポイントからスタートできます。
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相変わらず痛々しい着地 |
工事現場のようなステージ。あらゆる手で壁をぶち壊して進みます。
そういえばこのステージは破壊的で好きだったな…。
クレーン動かす!自分が動かす!と友人を制して乗り込む。
レバーに手をくっつけたままカメラをぐるぐる回転させるので酷い姿勢に。こうなるとどの方向にどう力が加わるのか分からなくなる。
何はともあれ壁を破壊。
恐らく電線ドラムと思われる物体を二人で運ぼうとしている図。お互いが邪魔。
ガラスの向こうにスイッチがある、と別の道を探す2P。
これ壊れるんじゃない?と箱をぶち当ててガラスを破壊する1P。
考え方に顕著な差が出ますね。
交互にレバーを操作しあってさくさくと進行。
これも壊せるんじゃない?という思考にとりつかれて無闇に壁を石で殴る1P。
見返してみると友人が常に別の道を模索していて面白い。
重し代わりにスイッチを踏んで起動したり、二人で板を運んだり。
ここはブランコの要領で外へ飛び出すのが正解だと見当をつけてチャレンジ。
無事成功しました。ガラス張ってあるとは思わなかったけど。
打って変わって城のようなステージ。鍵を壊したり、格子を曲げたり、壁を壊したり。
このステージはオブジェクト多め・通路狭め・道多めで別行動になりがち。
道を作ったと思いきや前のステージに戻ったりして難しい。
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そして相変わらず痛々しい着地 |
ランプにぶら下がって向こう岸へ渡ったり
鉤状の棒を
壁から出ている突起に引っ掛けて
向こう岸に渡りきれなかったり。
一番悩んだ家と滑り台と樽のステージ。
「滑り台と対岸の間に板を置けば樽を向こう岸に渡せる」という思考にとらわれて板と共に川へ落下すること多分10数回。諦めて見た攻略に『樽を横向きにして転がせば向こう岸へ渡る』と書いてあって「じゃあ板なんか置くなよ!」と思いながらクリア。この頃にはもう二人して疲れていた。
ランプは掴まるもの。
風車も掴まるもの。
家の中には基本何もない。
協力して高い壁を登り
人間投石機でいよいよ跳ね橋を…
狙いが右にズレました。
左のレバーで投石機のカゴを降ろして再度挑戦。今度はうまく跳ね橋へ。
最早見慣れた非常口のマーク。これはゴールの予感。
城ステージをクリア!
結構遊んだし、もうそろそろ終わりだろう。いや思ったより楽しめた。二人でプレイすると最初の印象より格段に面白かった。ジャイロ操作がイマイチでやたら肩がこるゲームだったけど、終わってみれば適切な長さで、
まだ終わってなかったんですけどね。
しかし次のステージは海。これは今度こそ終わりそうな予感。
相変わらずな操作性に苦労しつつボートを漕ぎいかだに乗り
コロを使ってモーターボートを進水。
モーターボートに乗り損ねた友人を置いて、一人で海の向こうへ。
水平線を超え、とうとう落下しました。このゲームもようやく終わりと思うと感慨深い…。
ただのコースアウトですやり直し!
城が最後のステージで、海はいわゆるエピローグ部分だと思っていたんですが、全くそんな事はなく。ここはステージ7『Water』。クリアまでにはあとステージ8・9もあるそうです。無情にも進水に苦労した船ごと戻されてしまい、既に疲労困憊だったので今回はここで中止。
続きをやるかどうか悩むくらい苦手な部類のゲームだったけれど、私が人生とこの世の色んな事柄を楽しむためには、きっともっと柔らかい頭と肩が必要なんだろうなと思いました。
ここまで柔らかくなりたかないけど。